【毛並み、毛艶】ぱさぱさ・ボサボサの悩みに!ドッグフードやシャンプーの選び方・病院での治療など
つやつやと輝き、シルクのような手触り。そんな毛並みに憧れるのに、どうしてぱさぱさ・ボサボサになってしまうのでしょうか?
シャンプーが合わないのか、ドッグフードが合わないのか…ついキラキラしている毛並みのわんちゃんと見比べてしまいますよね。
この記事では、健康を維持し艶やかな毛並みを維持する方法について紹介していきたいと思います。
そして、今はそんなに気にならないというワンちゃんも、もしかしたら、ぱさぱさ・ボサボサ予備軍かもしれません。
- 被毛に触ると硬い感じがする
- 毛が束になって固まったようになる
このような感じがあると、将来パサパサ、ゴワゴワの被毛になる可能性が高いです。そんなワンちゃんのためのケア方法についても解説しているので、しっかり対策していきましょう。
目次
【毛並み対策】ドッグフードでケアする ~体の中から守る
毛並みを良くするためにはまず皮膚を丈夫に健康にする必要があります。
毛根のある皮膚を真皮層といいます。この真皮層に血管と神経が集まっていて、毛根に栄養を運んでくれます。つまり皮膚を健康な状態に保つことが毛並にとっても重要ということです。
皮膚や角質や被毛の成分は「ケラチン」と呼ばれるタンパク質から作られています。健康的な皮膚を作るためには、良質なたんぱく質は必須と考えてよいでしょう。副産物などの品質の悪いたんぱく質は避けたほうが賢明です。
また、ワンちゃんの皮膚は人間と比べて非常に薄く、1/5程度しかありません。皮膚が薄いと肌の水分を保持することが難しくなります。
乾燥から肌を守るためにはオメガ3脂肪酸や6脂肪酸が有効なので、原材料にDHAやEPA、サーモンオイルや亜麻仁が含まれたフードはおすすめです。
皮膚の健康と、乾燥から肌を守るために、ドッグフードを見直してみましょう。
◎良質なたんぱく質が含まれている
◎副産物などが含まれていない
◎脂肪酸(DHA・EPA・サーモンオイル・亜麻仁油など)が含まれている
【毛並み対策】ブラッシングやシャンプーによるケア ~体の外側から対策
皮膚や被毛を清潔に保つためには、「ブラッシング」「シャンプー」を適切にしてあげましょう。
ブラッシング
ブラッシングで、被毛のもつれを解き、汚れを取り除いてあげましょう。
また、ブラッシングすることで、皮膚のマッサージにもなり、血液循環が良くなります。血液の流れが良くなると、毛根に栄養素や酸素がより多く供給されます。
適切なブラッシングを行うには、ブラシの選択が大切になります。ブラシの毛先が尖ったり、硬いものは皮膚の表面に傷をつける原因になります。
毛先が丸くなっているものや豚毛などのブラシを選ぶと良いでしょう。
シャンプー
選び方
美しい毛並みを保つために、シャンプー選びも重要です。
まず見てほしいのは「弱酸性」「中性」のシャンプーは選ばないことです。
人間にとっては弱酸性のものが良いとされていますが、犬の皮膚のpHは「アルカリ性」です。ヒトの皮膚は弱酸性ですから真反対なのです。皮膚をバリアしている部分まで洗い流してしまう事で、抵抗力が落ち、細菌感染しやすくなってしまいます。
洗い方
そしてワンちゃんの皮膚はとても薄いので、繊細でデリケートです。
こすり過ぎるとターンオーバー中の繊細な皮膚がめくれてはがれて落ちてしまいます。
洗う時は、やさしく、傷つけないよう注意しましょう。くれぐれも爪を立てて、ごしごし洗わないように気をつけてください。
どうしても泡が立ちにくい時には、泡だてネットを使うのも良いですね。
流す際は、熱いお湯だと痒みが出たり、皮膚から水分が蒸散しやすくなるので、ぬるめのお湯で洗ってあげてください。
また、脇や股、首の下などは洗い残しがでやすい場所です。シャンプー液が残ると皮膚炎の原因になりますので、最終チェックを忘れないようにしましょう。
水分を拭くさいも、ごしごしと強くこするのではなく、優しく押さえてあげてください。
毛についた目やになどの汚れは、ふやかすようにして落とすと、刺激が少なく楽にとることが出来ます。
【毛並み対策】それでも変化がない場合は病院へ!
ドッグフードを良質のものにしたり、シャンプーやブラッシングを工夫しても毛並みが悪いなら、疾患が隠れている可能性もあります。
早めに動物病院を受診して、調べてもらいましょう。
毛並みが悪くなる疾患
毛並みが悪くなる疾患として以下のものがあります。
甲状腺機能低下症
甲状腺からのホルモン分泌が少なくなり起きる病気です。
皮膚の症状:「色素沈着」「薄毛」「左右対称の脱毛」「皮膚の乾燥」「フケ」など
検査:血液検査で甲状腺ホルモン量測定をします
治療:甲状腺ホルモン製剤の投薬で一生涯続きます。甲状腺ホルモンの測定は定期的に行い、薬容量の過不足を確認します。
検査費用:ホルモン濃度測定検査に10,000円~、内服薬に月3,000円~ 検査費用は検査機関によって異なりますが、5,000円~程度です。
シラミ・ツメダニ
外部寄生虫で皮膚や被毛に寄生します。シラミは皮膚やフケをかじり皮膚の炎症が起きます。またツメダニはフケが大量に出て強い痒みを伴います。
皮膚の症状:「痒み」「皮膚の炎症」「フケ」など
検査:肉眼または顕微鏡で成虫・卵を確認します
治療:シラミの成虫は駆除薬があり、皮膚に駆除薬を塗布することで死滅します。
卵に効く薬はないので、卵からかえり成虫になるのを待って駆除します。
また、皮膚を成虫がかじりとり皮膚炎が起きた場合は、抗生剤や抗ヒスタミン薬などで治療が必要になります。
治療期間は1~2カ月ほどです。卵のついた被毛をカットすると治りが速くなります。
ツメダニは人にも感染するので注意が必要です。万が一移ってしまった場合は、皮膚に塗布する薬で治療を行います。
検査費用:駆除薬が1,500円~、その他10,000円~程度です。体格や寄生の程度によって変わります。
タンパク漏出性腸症
タンパク漏出性腸症とは、腸管から多量のタンパクが漏れ出てしまうことが原因で血液中のタンパク量が減少する病気です。
原因:腸のリンパ腫やリンパ管拡張症、IBD(慢性腸炎)など
症状:慢性的な下痢がおこり、タンパク質が吸収されないので低蛋白血症、被毛のトラブル、元気喪失、浮腫など
検査:血液検査・内視鏡・組織生検などを行います。
治療:原因に応じた治療を行います。リンパ腫ならば、抗がん剤の投与、慢性腸炎ならば、消炎剤などの投与、食事療法など。
検査費用:確定診断のための検査に20,000円~、内服薬などが月に5,000円~、生涯治療を要することもあります。(※体格や必要とする検査内容によって費用は変わります)
ペット保険の適用
ペット保険の会社によってはシラミとツメダニが適応外になる可能性があります。
また、療法食を治療に用いる場合は保険適応外です。
ほかの項目に関しては会社にかかわらず保険適応です。
治療にかかる期間
甲状腺、蛋白漏出性腸症については治療は一生になることが多いです。
シラミやツメダニは寄生の程度によりますが1~2カ月前後で軽快することが多いです。
ワンちゃんのためにも、しっかりと対策しておきましょう。
毛並み、毛艶が悪い原因は?
毛並み、毛艶が悪くなるのは、どうしてでしょうか?その原因について解説します。
栄養不良
体調不良などが原因で栄養がしっかりとれない場合もありますが、ドッグフードによる栄養不足が原因の場合もあります。
被毛に必要な材料はタンパク質、微量元素(亜鉛、マンガンなど)などですが、タンパク質の品質は毛並みに大きな影響が出ます。
ドッグフードに含まれるタンパク質の割合は平均20~26%です。この20~26%すべてが無駄なく体内で使えれば問題ないですが、タンパク質の中には副産物(通常、食用にしない部分。皮、被毛、羽、ひづめ、内臓部分など)が多く含まれている事があります。
品質の悪い肉の場合、消化吸収できずに便とともに排泄されることもあるので、結果栄養不足になってしまします。
ホルモン分泌が悪い
毛の生えかわりはテストステロン(男性ホルモン)、エストロジェン(女性ホルモン)、サイロキシン(甲状腺ホルモン)が関係しています。
テストステロンは通常、発毛を増強する働きがあります。エストロジェンはコラーゲンの生成を促す作用を持ち、被毛の太さやコシに関係しています。皮脂の分泌を抑制する作用もあります。
サイロキシン(甲状腺ホルモン)はさまざまな作用を持つホルモンですが、分泌下低下すると被毛に関しては「毛艶が悪い」「被毛が細くなる」「毛が抜ける・抜けて生えない」などの症状が現れます。
去勢手術や避妊手術の後では毛並みにも変化が現れることがあります。脱毛があったが生えてきたという変化や、反対に生えなくなったという変化もありえます。(生えなくなったというのは比較的珍しいケースです。)
ホルモン分泌には、体内時計や太陽光線を浴びることが、大きく関係しています。ホルモン分泌は生活リズムと密接な関係があり、明るい時間が長いと体内時計が狂います。室内で生活するようになった犬たちは明るい時間が長くなり体内時計が狂いがちです。
また、冷暖房がきく部屋で快適に暮らすことができるようになった半面、季節感がなくなり換毛がうまくいかず1年中ゴワゴワの冬毛のままの犬たちも増えています。できるだけ寒さや暑さを感じることができるメリハリの利いた生活を送り、体内時計を整えてあげましょう。
ホルモン分泌が良くなると健康を維持し艶やかな毛並み、毛艶の維持につながります。
寄生虫
ノミやシラミ、ツメダニなどの外部寄生虫が原因の場合があります。
寄生虫が皮膚にいることで、違和感や痒みから咬んだりなめたり引掻いたりして、皮膚や被毛が痛むことがあります。
また、回虫などの内部寄生虫がいると栄養素を横取りされてしまい、せっかく食べたドッグフードの栄養素を犬自身が利用できなくなって栄養不足になります。
また、腸に寄生した場合、感染期間が長くなると腸が固くロープ状になってしまい、さらに栄養吸収が悪くなります。
被毛にはバランスの良い栄養が必要になります。栄養不足によって、艶が悪くなり毛並が悪くなります。
定期的に駆虫することで内部寄生虫から守ってあげましょう。年に4回がお勧めです。
慢性疾患
腎疾患や肝疾患、消化器疾患があると栄養吸収が悪くなったり、排泄すべき老廃物が排泄されずに体内に残ったりします。脱水が起きてしまうこともあります。
腎疾患の場合、本来なら排泄しなければならない老廃物(毒素)が体内に残り、吸収しないといけないタンパク質が尿とともに体外に排泄されてしまいます。水分も排泄されてしまうので脱水が起こります。被毛の材料になるタンパク質が排泄されるので毛並が非常に悪くなり、脱水から毛がぱさぱさになってしまいます。
通常、肝臓では、タンパク質の代謝が行われます。アミノ酸に分解されたタンパク質は、腸管から吸収されて肝臓に運ばれ、必要なタンパク質に再合成されます。肝臓が悪くなると、この働きが出来なくなり、毛並が悪くなっていきます。
消化器疾患の場合は分解された栄養素の吸収が上手く行かなくなってしまうので、被毛を作るために必要なタンパク質やミネラルなどの微量元素が不足し、健康的な被毛が作れなくなってしまいます。
犬種別:毛並みケアのアドバイス
犬種によって毛の質は異なります。どのような特徴のドッグフードを選べばよいのでしょうか?また、お手入れではどのような点に気をつければよいのでしょうか?
ケアのポイント | おすすめのドッグフード | |
---|---|---|
トイプードル キャバリア ゴールデンレトリバー ラブラドールレトリバー チワワ 日本テリア パピヨン パグ ビーグル ボストンテリア ポメラニアン マルチーズ ヨークシャテリア |
ブラッシングは毛の根元からすいてください。 毛玉は放置しないようにしましょう。 |
・高たんぱく ・オメガ3脂肪酸 ・オメガ6脂肪酸 が含まれているもの |
コーギー ジャックラッセルテリア ボルゾイ ミニチュアシュナウザー |
ブラッシングをしっかり行いホコリやゴミ・抜け毛を取り除くようにしましょう。 特にボルゾイは毛が長い犬種なのでブラッシングは欠かさないようにしましょう。 |
・高たんぱく ・オメガ3脂肪酸 ・オメガ6脂肪酸 ・グルコサミン ・コンドロイチン が含まれているもの |
柴犬 | ブラッシングは毛の根元からすいてください。 換毛期には抜け毛が非常に多いので特にブラッシングをしっかり行いましょう。 |
・高たんぱく ・オメガ3脂肪酸 ・オメガ6脂肪酸 ・EPA・DHA が含まれているもの |
毛並み、毛艶のよくある質問 Q&A
ストレスは万病のもとと言いますが、犬も同じです。ストレスがかかると、血液循環も悪くなり、抵抗力が落ち感染を受けやすくなりますし、自律神経の乱れから消化吸収も悪くなり毛並みが悪くなります。
艶がない、毛が束になっている、パサついている、色が変わってきたなどは体調不良のサインです。
腎不全では毛がぱさぱさになり、毛が束になります。慢性疾患では黒毛がこげ茶色の毛に変わります。
高脂肪はダイエット中には気をつける必要がありますが、高たんぱくのフードは、ほぼ問題ありません。高タンパクで、脂肪含量が少ないものを選ぶようにしましょう。
炭水化物や脂質を多く含んだものはやめましょう。良質な肉を原材料にしたものや、コラーゲンを多く含んだものをお勧めします。
手作り食を作るには、しっかりとした知識が必要になります。よくわからないまま手作りフードにしてしまうと、ビタミン類、ミネラル類が十分に取れず、栄養不足になって、余計に毛並みが悪くなってしまう事も。ドッグフードと併用は良いですが、手作り食のみはあまりおすすめしません。
まとめ
毛並みの良さは、ドッグフードや、シャンプーの選び方でケアできる場合もあります。
ワンちゃんの体は食べたもので作られているから、品質の良いドッグフードを選んであげることが大切ですね。
更にストレスを溜めないことも大切です。外で元気に走り回って、健康を維持し、美しい毛並み、毛艶を保ってあげましょう。