【涙やけ・目ヤニ】ドッグフードや運動など自宅でできるケア方法と病院での治療について
目の周りの毛が赤くなってかゆそう・・・そんなワンちゃんの病気のひとつである涙やけ。
- 涙が良く出る
- 「そのうち良くなるかな」と思っていたら、どんどんひどくなる
- 目の下が茶色くなって皮膚がただれてくる
といったお悩みで、ワンちゃんはかわいそうだし、お手上げという飼い主さんも多いですよね。
涙やけは、小型犬に多く見られる症状です。
プードル、チワワ、シーズー、ダックス、パピヨン、マルチーズなど
この記事では「涙やけ」を自宅でケアする方法や、病院での治療、何が原因で起きるのか、一緒に起こりやすい「目やに」の対策などについて解説します。
目次
【涙やけ・目やに対策】ドッグフードや運動でのケア ~体の中から守る
食事の見直し ドッグフードをチェック
涙やけや目やには、与えているドッグフードが原因になっていることがあります。
まずは以下をチェックしてみましょう。
- たんぱく質の品質が悪くないか
- 添加物(香料、着色料、保存料など)を使用していないか
- 穀物を使用していないか
原因のひとつは、質の悪い肉や、添加物(香料、着色料、保存料など)を食べることでアレルギーを起こしているケースが多くみられるそうです。
その場合、ドッグフードやおやつの変更で配慮することが出来ます。
原因のふたつ目は、ドッグフードに含まれる穀物です。
フードによっては、肉以上の割合でトウモロコシや小麦を使っているものがありますが、実はワンちゃんは穀類をうまく消化することができません。
ドッグフードでアレルギーを起こし、涙やけを起こしている場合があります。
◎肉の品質が良い
◎添加物は最小限に
◎アレルギーを起こしやすい穀物は最小限に
水分量を見なおそう
水分をきっちりとることも大切です。
涙の98%は水分ですが、その他にタンパク質、リン酸塩なども含まれていて、弱アルカリ性の液体です。
水分量が減少すると、タンパク質やリン酸塩の濃度が上昇し、粘稠性が上がり、べたべたとした液体になります。
べたべたした涙は、鼻涙管をうまく流れず、眼の外に溢れ、眼の周囲の毛に付着します。
この涙が空気に触れて酸化すると、茶色く変色し「涙やけ」になってしまいます。
運動量アップで代謝・血流をよくし、涙のネバネバを予防!
ワンちゃんの運動量は、十分でしょうか?運動不足になると新陳代謝が悪くなり、体液の流れが悪くなります。
このことが原因で体内の老廃物が溜まり、涙やけがひどくなってしまうことがあります。
犬種ごとの必要な運動量を把握し、涙をはじめとする体液が、べたべたしないようにしてあげましょう。
【涙やけ・目やに対策】ふき取り方や薬剤について ~体の外側から改善
次はお家で出来る、ケアの方法についてアドバイスします。
眼の周りの茶色くなった毛を切る
毛を切る際に目に、はさみやクシが当たらないようにします。
まず頭をしっかり支え、茶色くなった毛は良くほぐしてから切り、皮膚を切らないように気をつけましょう。
自分でカットするのが難しい場合は、トリマーさんにお願いしましょう。
汚れをふき取る
汚れのふきとり方法には何種類かありますが、代表的なものは「漂白」「ホウ酸」「重曹」を使用するのもです。
ゴシゴシと強くこするのではなく、優しく押さえるようにしましょう。
毛について硬くなった目やになどは、ふやかすようにして落としてあげましょう。
漂白
漂白は主にオキシドールで行います。オキシドールは過酸化水素水ともいい酸素系漂白剤です。髪の脱色などにも使用されます。強い腐食性を持ち、高濃度の液体が皮膚に付着すると、白斑が生じます。そのため、デリケートな眼のふちに使用する時には、眼の中に入らないように注意が必要です。
ホウ酸
ホウ酸は弱酸性で殺菌剤や眼科で医薬品として使われています。水に溶かして眼の洗浄などで良く用いられています。昆虫が摂取すると毒性があるが、動物が大量に摂取すると消化器症状が出ることもありますが、ほぼ無害です。
ホウ酸水の作り方
● 材料 ●
・ 薬局方ホウ酸 3g
・精製水 150ml
注意…ホウ酸水の濃度は必ず2%以下になるように作ります。
● 作り方・保存の仕方 ●
・ 精製水を60度に温めホウ酸3gを溶かします。
・ 密閉できる容器で冷蔵庫保管し、2週間以内に使いきってください。
重曹
重曹は料理、洗濯、医薬品など様々なことに使用されています。涙やけの汚れを落とすために乳化という作用を利用しています。アルカリ性なので濃度が高いと眼に刺激になるので濃度に注意して使用する必要があります。
【涙やけ・目やに対策】それでも治らない場合には
色々試しても良くならない時は、動物病院で診察を受けましょう。
鼻涙管(眼から鼻の奥に涙が抜けていく通路)が狭いワンちゃんの場合は、涙が眼から外にあふれてしまうので、自宅のケアだけでは改善が難しい場合があります。
鼻涙管が狭いかどうかは、動物病院でのフローレステストで確認することができます。
フローレステスト
【検査内容】
「フルオルセイン」という眼専用の染色液を眼に1滴たらし、1~2分間待ちます。
この染色液が鼻の穴からにじむように出てきたら、鼻涙管が開通していることが分かります。
時間がかかる割に少ししか出ない時には、狭窄している(鼻涙管が詰まってしまっている)可能性が高くなり、治療・処置が必要になります。
涙管洗浄
涙管洗浄は、眼のふちにある「涙点」という、涙が流れていく穴に細い管を差し込み、洗浄していく方法です。全身麻酔下で行う場合もあります。
費用は、血液検査代金と麻酔代金、処置料を合わせて20,000~25,000円程度です(地域によって異なります)。
ただし、この処置を行っても数ヵ月後には再発することが多く、根本治療にならないこともあります。
逆まつげの治療
逆まつ毛が、眼の表面を刺激して、涙がたくさん出るために涙やけが起こることがあります。
逆まつ毛は、抜くことで改善しますが、再発しますのでその度抜く必要があります。
費用は診察料などを含めて3000円前後です。
眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)の手術
涙やけのもう一つの原因は、眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)です。これは眼瞼(まぶた)が、眼の内側に入り込んで、眼球の表面に当たり、涙がたくさん出てしまう症状です。
眼瞼内反の場合は、手術をする必要があります。
費用は、血液検査代金と麻酔代金、処置料を合わせて35,000円前後です(地域によって異なります)。
涙やけ・目やにが生じてしまう原因は?
そもそも、涙やけの原因は何でしょうか? 様々な原因が考えられていますが、現在のところ有力なのは次の5つです。
- アレルギー ドッグフードや環境による
- ドッグフードの添加物
- ドッグフードの粗悪なタンパク質
- 鼻涙管の異常
- 眼の異常 逆まつ毛や眼瞼内反など
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
ドッグフードや環境によるアレルギー
ドッグフードに使用されているタンパク質や、穀物などに対してアレルギー反応を起こした場合、眼が痒くなって、掻いたりこすりつけたりし、涙が大量に出ます。
犬のアレルギーは食べ物だけでなく、草木の花粉やハウスダストなどに対しても反応します。
原因が何であれアレルギー反応が起こると、痒みが起こります。
食べものに対するアレルギーの場合は、嘔吐や下痢などの消化器症状が起こることが多いです。
体の一か所で起こったアレルギー反応であっても、全身に影響を及ぼすことがあります。アレルギー反応の原因がわからないとアレルギー物質を摂り続けてしまい、ますます悪化してしまします。
ドッグフードの添加物
安価なドッグフードには添加物が多く加えられています。
添加物の種類は複数あり、ドッグフード安全法で使用しても良い添加物が決められています。
添加物には「酸化防止剤」「着色料」「保存料」などがあり、自然由来のものなどもあるので、すべてが悪いというわけではありません。
しかし、化学合成された添加物の中には、発がん性のあるものや、催奇形性(奇形を引き起こす)のあるものもあります。
このような添加物は体内で分解されにくく、体内に排泄しなければならない化学物質が蓄積していきます。
これが涙の成分に混じり、涙やけの原因になります。
ドッグフードの粗悪なタンパク質
安価なドッグフードには粗悪なタンパク質が含まれていることもあります。
粗悪なタンパク質とは?
- 原材料に穀類(トウモロコシ、小麦など)が多い
- 〇〇副産物、〇〇類といった不明瞭な表記
が多いものは避けましょう。
パッケージの見方
原材料は多く入っているものから順番に書くというルールがありますので、例えば「ラム肉、乾燥ラム肉・・・」などのように、何の動物の肉かわかるタンパク源から始まっているものを選びましょう。
肉食の犬にとって消化の負担になりませんし、体に有害なアンモニアなどの硫黄化合物が体内で大量に発生することもありません。
鼻涙管の異常
鼻涙管とは、犬の眼から鼻に涙が通り抜けていく管です。この鼻涙管が、生まれつき狭い場合や、だんだん狭くなってしまうことがあり、涙やけが生じやすくなります。
もともと狭い場合は、遺伝が関係していることが多いです。
だんだん狭くなるという場合は、ドッグフードに含まれる添加物や原材料として使用されているタンパク質が原因ではないかと言われています。
眼の異常 逆まつ毛や眼瞼内反など
逆まつ毛は、ヒトでも良く起こりますね。これは、まつ毛が眼の内側に向いて生えてしまい、眼球の表面を刺激することで涙がたくさん出ます。
眼瞼内反はまぶたのふちが眼の内側に入り過ぎて、眼の表面をこすり刺激することで痛みが生じ、涙がたくさん出ます。
両方とも、涙が常に流れている状態になってしまうので、涙やけが起きてしまいます。
犬種別:涙やけ・目やにケアのアドバイス
プードル
涙やけが非常に多い犬種。眼の周りの毛が眼に入りやすいのでこまめにカットしたり、フードやおやつの選択に気をつけましょう。
チワワ
短頭種で鼻涙管が狭窄しやすいので涙やけが多い。フードやおやつの選択に気を付け、タンパク量が多すぎるフードには要注意。
シーズー
短頭種で眼が他犬種に比較して大きく、前方に飛び出しているため涙袋が浅く、鼻涙管も狭窄しやすい。又、眼の周りの毛が眼に入りやすいので、こまめにカットするか頭部の毛を長くのばし頭頂部で結びましょう。
ダックス
涙やけが多い犬種。アレルギー体質や自己免疫性疾患の発生率が高く、フードに対してのアレルギーから涙やけが発生しやすいので、フードやおやつの選択に気をつけましょう。
パピヨン
涙やけが非常に多い犬種。
フードやおやつの選択に気をつけましょう。
マルチーズ
涙やけが非常に多い犬種。眼の周りの毛が眼に入りやすいのでこまめにカットしたり、頭部の毛を長くのばして頭頂部で結びましょう。
涙やけのよくある質問 Q&A
涙やけのワンちゃんに高たんぱくのドッグフードを与える場合は、タンパク源が良質なものかどうかの確認が必要です。
原料が明確にわかっていて、品質が良いものであれば問題ありません。
しかし、副産物や植物性たんぱく質がたくさん含まれていると、涙やけの原因になることがあります。
すでに涙やけの症状があるワンちゃんは悪化する場合があります。
ドッグフードの表示をしっかり確認しましょう。
ベビーパウダーの成分はメーカーにより様々ですが、タルクやコーンスターチなどが使用されています。殺菌成分が含まれている場合もありますが、主な働きは吸湿です。乾かすことには向いていますが、涙やけの根本的な解決にはなりません。
コラージュフルフルは持田製薬から発売されている、抗真菌薬を含んだ人間用のシャンプーです。抗真菌作用や殺菌作用があるので、涙やけで、ただれた皮膚をきれいにしたり、涙で固まった部分をほぐして清潔に保つことは可能ですが、涙やけの解決にはなりません。
いずれも根本的な解決策とは言えないでしょう。
涙やけ専用クリーナーを使用すると、汚れを取ったり、茶色く染まった涙やけの色を薄くすることが出来ます。
ぬるま湯や水でも涙やけの汚れは取れますが、より簡単に取ることが出来ます。
ただし、完全にきれいにするのは難しい場合が多いです。
涙やけ専用クリーナーは「スプレータイプ」「シートタイプ」「リキッドタイプ」など様々な種類があります。
成分は「アルコール」「ホウ酸」「緑茶エキス」「ハーブエキス」などが含まれることが多いです。
粗悪なタンパク質や、添加物が多く使用されているものは、涙やけを悪化させますので控えてください。
手作り食でよくなるワンちゃんがいるのは事実です。
ただし、完全にきれいになる場合とそうではない場合があります。
添加物の影響で涙やけがひどい場合は、無添加の手作り食にすることで良くなっていきます。
ただし、タンパク質の種類があわなかった場合や、アレルギーのある犬の場合は完全にきれいにならない場合もあります。
手作り食は、犬の栄養についての正しい知識が必要になります。安易な手作り食は危険な場合もあります。良質で信頼できるドッグフードをベースに置いておくと良いですね。
涙はもともとは透明です。
涙の成分は水分が98%、タンパク質やリン酸塩などが2%含まれる弱アルカリ性の液体です。
この涙が空気に触れると、タンパク質が酸化して赤茶けた色になります。
ネット上にはワンちゃんの涙やけに良いという意見も、悪いという意見もあります。
アイボンの種類は、メントール入りやビタミンが入ったものまで様々ありますが、基本的に人間用のものなので、犬には使用しない方が良いでしょう。
顔を触られることを嫌がるワンちゃんも多いのですね。
しかし涙やけがひどくなると、被毛についた汚れが皮膚について、ただれて更に痛みも伴います。
無理やり取るのではなく、ふやかしてからゆっくりとってあげましょう。
ぬるま湯で湿らせたハンドタオルを眼の上に載せ、ホットパックのような状態にすると、楽に取ることが出来ます。
カチカチになってしまう前に対処するのがおすすめです。
ストレスのために免疫低下が起こることもあります。免疫低下が起こると感染も起こりやすくなり、体外から入ってくる様々な物質に反応することもあります。
ストレスだけが涙やけの原因ではありませんが、ストレスは万病の元ですから気をつけてあげましょう。
まとめ
涙やけ・目やにの原因は様々です。
完治する場合もあれば、長く付き合っていかなくてはならない場合もあります。
ドッグフードが原因のアレルギー反応を避けるためには、良質なドッグフードを子犬の頃から与え、しっかりと予防してあげることが大切です。