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【便秘】食事や水分量・運動によるケア方法!原因や病院での治療など

便秘改善 獣医に聞いてきました

何回もしゃがんで力んでいたり、力みながら吐いてしまったり、なんてことありませんか。

こんな症状は、もしかしたらワンちゃんの便秘の症状かもしれません。

ワンちゃんの便秘度チェック

  • 何回も力むが便が出ない
  • コロコロした硬い便が出る
  • お腹が張っている、お腹に触ると力を入れる
  • 食欲がない
  • 元気がない
  • 嘔吐する

こういった症状が見られる場合は、便秘の可能性が高いです。

ここでは、ワンちゃんの便秘のケアと便質の解消法について、くわしく解説していきたいと思います。

【便秘対策】ドッグフードやサプリメントで対応する ~体の中からケア

食事の見直し ドッグフードをチェック

ドッグフードの見直し食事の内容に問題があり便が出にくくなっている場合があります。食事内容を見直してみましょう。

  • 繊維が不足している
  • 穀類などの炭水化物がが多すぎる
  • おやつばかり与えている

このように食事に偏りがあると便秘になりやすくなります。

ドッグフードを見直すことで、コロコロウンチなどの便質を解消できる場合があります。

便秘のケアにおすすめなドッグフードの選び方

獣医OK◎消化吸収の良い繊維分を適度に含んでいる
◎穀物や炭水化物より動物性たんぱく質が豊富
◎たんぱく質の品質が良い

便秘解消のための食べ物

人も便秘になると、食べ物を工夫したり、お腹に良いものを取り入れたりしますが、ワンちゃんにはどうなのでしょうか?

便秘と聞いて思いつく食品が、愛犬の便秘に適しているか、アドバイスします。

ヨーグルト ◎(乳糖不耐性は×)
07con_1ヨーグルトの乳酸菌が腸で働いて腸内環境を整えてくれます。少量であれば上げても問題ありません。

ただしヨーグルトは乳製品です。乳糖不耐性によって下痢になるワンちゃんの場合は止めましょう。

オリーブオイル ◎
オリーブオイルの主成分の「オレイン酸」は、腸の蠕動運動を促します。また、便の表面がオイルで覆われ、排泄しやすくなる働きもあります。

オリゴ糖 ◎
オリゴ糖はお腹の善玉菌を増やす効果があります。オリゴ糖は腸の中で善玉菌のエサになるので、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす働きをします。

健康な消化吸収を維持し、腸の働きを活発にしてくれます。

キャベツ ◎(ただし注意が必要)
キャベツには繊維が多く含まれ便質のケアに期待ができます。またキャベツに含まれるビタミンUが消化管粘膜を保護し、腸の働きを活発にしてくれます。

ただし、キャベツは食べ過ぎると甲状腺機能低下症を引き起こすことがあるので注意が必要です。

リンゴ ◎
07con_2リンゴには腸の運動を活発にする作用と、リンゴの繊維が水分を吸収して便がカチカチになるのを防いでくれます。

リンゴの皮の裏にはペクチンがたくさん含まれており、善玉菌のエサになるので腸内環境を管理することができます。

さらにペクチンは水溶性食物繊維なので、便中の水分を吸収し柔らかい便質にしてくれます。

さつまいも ◎
サツマイモには食物繊維が多く含まれます。この食物繊維が便中の水分を多く保持し、カチカチになりがちな便をやわらく、排泄しやすくします。

水分量の見直し

水を飲む犬水分は、一部は尿として排出されますが、それ以外は便や汗として体内で使用されています。

水分量が少ないと、便に水分が行かず、便が硬くなって便秘を進行させてしまいます。

つまりしっかりと水分を補給することが、便秘のケアになるということです。

体重が5kgのワンちゃんが、1日に必要な水分量と尿の量は
1日に必要な水分量:250~350ml (※1)
尿量:120~205ml (※2)
となります。

水分摂取量を増やすためには、いつでも水が飲めるようにし、場合によってはウェットタイプのフードなどを利用して、積極的に水分を摂らせる工夫が必要になります。

※1:1日に必要な水分量の計算は「体重(g)×0.05~0.07ml」 ※2:正常な尿量は体重1㎏あたり24~41ml

サプリメントで便の硬さを解消

酵素

サプリメント酵素には動物性酵素と植物性酵素があります。

植物性酵素は、動物性酵素の働きを活性化させ、消化管の働きかけます。

植物性酵素は体内で合成できないためサプリメントなどで摂ることをおすすめします。

乳酸菌

腸内腸内は様々な菌が多く含まれていますが、乳酸菌より増えた善玉菌が腸内容物を分解し、便質を向上してくれます。

乳酸菌が多いほどよいと言われていますが、乳酸菌も様々な株の種類があり、どの株がどう働くかは、人によって異なります。
これはワンちゃんにも同様で、人に適していると言ってもワンちゃんにも同様であるとは限りません。

【便秘対策】マッサージやツボ、運動 ~体の外側からケア

今度は体の外側からのケアや運動について解説します。

マッサージ方法

マッサージワンちゃんの体にはさまざまなツボがあります。ツボをマッサージしてあげることでも腸の動きを活発にして、ウンチの硬さを解消することにつながります。

ワンちゃんを仰向けにして、お腹を上から見た時に、大腸はクエスチョンマークを描くように配置されています。

大き目のクエスチョンを描くように優しくマッサージすると腸の動きが活発になります。

温めて解消

毛布にくるまったワンちゃん腸にはたくさんの血管があります。

お腹が冷えてしまうと血液循環が悪くなりますので温かいタオルやカイロでお腹を温めて血液循環を良くするのも良いでしょう。

ツボについて

ツボとは、神経がつながっている節目やつなぎ目のことで、疲れやストレス、体調不良があると原因となる個所のツボを押さえると痛みが出ます。

ツボは強く押すと逆効果ですので、温めたり、軽く指で押さえるのがコツです。

便秘のツボは以下です。

  • 百会:腰の一番高いところが百会です。
  • 関元:臍から恥骨までを5等分して下から5分の3の所。
  • 長強:尾の先にあります。
  • 後三里:脛の骨の内側。膝から踵までを2等分した位置の少し上。

運動・散歩

運動体をしっかり動かすことで血液循環が良くなりますし、腸の運動も活発になります。

激しい運動でなくてもかまわないので、散歩をして、しっかり歩くようにしましょう。

内臓脂肪が多くなると、消化管の周りにも脂肪が絡みつきます。

脂肪は消化管が冷える原因になり、さらに脂肪が邪魔で腸のぜん動運動の妨げになってしまいます。

【便秘対策】それでも変化がない場合には

診察単純な便秘の場合は、ドッグフードや、マッサージ、運動などでケアします。

しかし頑固な便秘の場合は、何をやっても便が出ず、ひどくなると食欲不振や嘔吐がおこり、最終的に病院での治療が必要になってしまいます。

飼い主さんだけで判断がつかない場合は、以下を目安にして診察を受けましょう。

動物病院を受診した方がいい症状

次のような症状が出ている場合は動物病院を受診してください。

  • 4日以上便が出ない
  • 力みながら嘔吐する
  • 食欲不振が続く
  • 痩せる

受診の際に持参したいメモ

受診の際には、以下のような情報をまとめておくと診断がスムーズです。

  • いつから便が出ていないか?
  • 普段食べているドッグフード
  • おやつの種類
  • 運動や散歩の量

動物病院で行う治療について

便秘の症状で動物病院を受診した場合の流れを紹介していきます。

診察・検査

まず、お腹を触ってどの程度の便が溜っているのかを確認します。

触るだけでは分かりにくい場合は、レントゲンを撮ることもあります。

考えられる病気

腸の中の便が硬すぎる
水分摂取不足、通過障害によって便秘が起きている。

肛門の病気
肛門腺炎、肛門腺がんなど肛門のトラブルがあると排便時に痛みを伴い排便しにくくなり、便秘が起きている。

直腸憩室
直腸の一部が膨らみ便が溜ってしまう病気。

消化管閉塞
消化管内異物、消化管内の腫瘍があると便が通過しにくくなったり、全く通過できなくなり排便できなくなります。
また腸蠕動障害があると便が肛門方向へ送り出せなくなり便秘になります。

神経障害
椎間板ヘルニアなどで、腸を支配する神経に障害がある病気です。

前立腺の病気
オスのみに起こります。
前立腺は直腸の直下にあるので前立腺炎や前線肥大、前立腺の腫瘍などで前立腺が大きくなると、直腸を下から背中側に圧迫してしまうため、排便しにくくなります。

ストレス
腸の運動は自律神経が司っています。
ストレスから自律神経失調を起こすと腸の蠕動運動がうまくいかなくなり、便秘になることがあります。

治療・薬

閉塞などが原因でない場合
便の軟化剤や下剤、浣腸などを用いることもあります。また、鎮静下で硬くなった便を崩して出す(摘便)こともあります。かなりの便貯留であれば手術で便を取りだすこともあります。

異物がある場合
異物を手術で取り除きます。

消化管内腫瘍
手術で腫瘍を取り除きます。

前立腺のトラブル
前立腺炎の場合は抗生剤や消炎剤の投与を行い炎症を抑えます。
前立腺肥大の場合は男性ホルモンの影響が強いので去勢手術を行います。前立腺の腫瘍の場合は手術で前立腺を取り除くことが多いです。

排便を我慢したために起こる便秘
排便したい時に落ち着かない環境で排便できなかったりすると、排便を司る神経が麻痺を起して、便秘になります。

治療にかかる期間・費用

手術適応の場合は、手術から抜糸までで、最短7日~です。

反対に閉塞などが原因ではない時には、生涯の付き合っていかなければならない場合もあります。

ペット保険について

便秘は病気なので、治療にかかった費用は保険適応になります。

ただし、処方食などのドッグフードは保険適応ではありません。

便秘になる原因は?

症状別に考えると、便秘には急性の便秘と慢性の便秘があります。

急性の便秘

一過性の便秘
ドッグフードの変更や生活環境の変化などをきっかけにして起こるもので原因を取り除けば治ります。

病気が原因の便秘
異物や腸捻転・腸重積などが原因になります。

慢性の便秘

慢性の便秘3日以上便が出ない、毎日出るが硬く小さく少量である場合は慢性の便秘です。

このような状態を放置してしまうと、大腸がんなどのリスクが高くなります。

長期的なストレスや環境変化に適応しにくいなどが原因になることが多いです。

常習性便秘

常習性便秘何らかの原因で、腸の機能が低下した場合に起こります。

常習性便秘の症状

  • 直腸が弛緩している
  • 便をしたいという感覚をコントロールする神経が鈍感になり便意が弱い

どちらも、便を我慢することが原因で起こります。

便が直腸に溜り過ぎると、腸の壁が伸びてしまい、ぶよぶよした感じになり収縮しにくくなります。

また、神経に対しても圧迫が起こりますので感覚が鈍くなってしまいます。

排便を我慢してしまう際の、考えられる原因は以下になります。

常習性便秘の原因

  • 散歩の回数や、長時間の留守番などによる我慢のしすぎ
  • ストレス
  • 年齢や環境の変化による腸内環境の変化

年齢別:便秘解消 アドバイス ~子犬・老犬

子犬や老犬が便秘になることは多く、対処に工夫が必要です。

子犬の場合

子犬子犬の便秘は、食事の切り替えのタイミングで起きることが多いです。

母乳から離乳食へ、離乳食からドライフードへ変化するタイミングで、食事中の摂取水分量が変わるので起こりやすくなります。

予防するためには、摂取する水分に気を配る必要があります。

母乳を飲んでいるワンちゃんの便秘は少ないのですが、人工乳を飲んでいるワンちゃんの便秘が非常に多く注意が必要です。

これはミルクに含まれるタンパク質の違いだと思われます。

その他に消化管内寄生虫が原因になることもあります。

また、しっかり運動させ腸の動きを活発にしないと便秘になりやすくなります。

万が一便秘になった場合には綿棒でお尻の穴を刺激したり、浣腸をして排出を促してあげましょう。

寄生虫が疑われる場合は動物病院で糞便検査を行い適切な駆虫薬を投与しましょう。

老犬の場合

老犬老犬の便秘の原因は多岐にわたります。

「消化管内の腫瘍」「前立腺肥大・腫瘍」「腸蠕動の低下」「食欲低下で便量が減っている」「腎不全」などが多くみられます。

下剤や便軟化剤、食物繊維の多いドッグフードへの切り替え、などで対処することもできますが、腫瘍などがある場合は、下剤や浣腸は厳禁です。

嘔吐を伴う場合は腸重積や腸捻転も考えられますから独自判断の対応はしない方が良いでしょう。

こんな便になればもう大丈夫。健康な便の固さ・形・回数

老犬正常な便のかたちはバナナ型と言われています。

また軽く押すと潰れる程度の硬さがちょうどよい状態です。

回数は1日2回が標準です。

便秘のよくある質問Q&A

便秘になりやすい犬種というのはあるんでしょうか?
ダックスフントは比較的多い

便秘になりやすい特定の犬種はありませんが、ダックスフントに比較的多いと思います。

綿棒で肛門を刺激してあげるのは有効でしょうか?安全に行うためのアドバイスもお願いします。
有効です

刺激することで排便を促し便秘解消につながります。ただし綿棒は綿がきつく巻いてあるので乾いたまま使うと傷をつけたり、こすれて血が出ることもあります。水を含ませたりベビーオイルをつけて柔らかくしてください。

便秘と合わせ、元気がなくてご飯を食べない、ぐったりした状態なので心配です。何か病気でしょうか?受診した方がいいですか?
すぐに病院を受診しましょう

便が溜った状態が続くと腸の血液循環が悪くなるだけでなく、腸内環境が乱れ毒素が出てしまいます。この毒素が全身に回っている可能性があります。すぐ病院へ行きましょう。

ビオフェルミンなど、人間用の薬を飲ませてもいいですか?
出来るだけ犬用を使用しましょう

飲んでも害にはなりませんが、人間に有用な乳酸菌と犬に有用な乳酸菌が異なりますのでできるだけ動物用を投与してください。

結論

便秘にはさまざまな原因があります。

一時的なものであれば水分をとったり、運動などで解消することもありますが楽観はできません。

普段から消化性に優れたタンパク質と良質な食物繊維を使用したドッグフードの見直しや、マッサージなどのストレスケアなどを行って、ワンちゃんの健康を維持してあげましょう。

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