【歯垢・歯石】歯磨きが苦手な愛犬のケア方法!ドッグフードの選び方や病院での治療について
愛犬の気になる口の中。嫌がって歯磨きをさせてくれなかったり、一生懸命お手入れをしているのに歯石がついてしまったりと、悩みますよね。
わんちゃんたちの口の中の環境は、人間より悪化するスピードが速いと言われています。
歯と歯茎の間が茶色くなっている、歯肉が赤くなっているなどの際は、しっかりお手入れをしないといけないサインです。
犬の口内ケアのポイントや、健康な美しい歯をサポートするドッグフードの選び方、その他のグッズについても解説していきます。
目次
【歯垢、歯石 対策】ドッグフードで対策する ~体の中からケア
飼い主さんが、ワンちゃんの健康な歯のためにと思っていても、ワンちゃん自身は口を触られるのが不快という子も多いので、歯磨きをするのも一苦労ですね。
できる限り口の中の環境を良くし、歯石がつきにくい状態にするために、まずは食事から見直してみましょう。
歯垢、歯石予防のために与えてはいけない食べ物
歯垢や、歯石予防のためには、次のものを避けましょう。
- 缶詰
- パウチ
- 糖分の多いおやつ
柔らかい半生のドッグフードや缶詰、パウチタイプのフードをメインで与えていると、歯垢がつきやすく、歯石や歯周病の原因になります。ドライフードの方が、歯につきにくくいのでおすすめです。
ワンちゃんは甘い味を好みますので、糖分の多いおやつが欠かせなくなっている場合も、歯石や歯周病の原因になっていることがあります。
果物も種類によりますが、糖分が非常に多いものがあります。人間が食べて甘いと感じる果物は、糖分がかなり多く含まれています。このような糖分は口の中の細菌の餌になってしまいますので注意しましょう。
だらだらと、間食をさせるのもよくありません。常に、口内に細菌の「エサ」がある状態になり、歯石が付きやすくなります。
歯石や歯石の沈着予防にはしっかり噛んで食べられるドライフードがおすすめです。
食べる時間を決めて食事のメリハリをつけることも大事です。
また、お口のトラブルで、合わせて起こりやすい口臭もフードによって引き起こされている場合があります。
ワンちゃんにとって消化しにくい穀物が、消化不良を起こし、腸内でガスが発生し口臭を起こす原因にもなります。
トウモロコシや小麦など消化しにくい穀物が含まれていないドッグフードが適しています。
【歯垢・歯石 対策】歯磨きで解消 ~体の外側からケア
歯磨きのやり方
まず、いきなり歯ブラシを片手に近づいて行っても、犬が警戒し怖がってしまいます。
ゆっくりと口周りを触ることに慣らしていくことが大切です。
ステップ1:指や布で口に触れることに慣れさせる
口元に触ることも嫌がるワンちゃんの場合は、少しずつ指や布で口元に触ることからスタートしましょう。
徐々に、唇の外から歯をマッサージするようにしていきましょう。初めから口を触らせてくれるワンちゃんの場合は、ここからスタートします。
これができれば、次は歯の表面を指でこすったり、布を指に巻き付けて歯の表面を拭いていきましょう。
驚くほど、ぬめりが取れると思います。このぬめりを取ることが最も大事です。
ステップ2:歯磨き粉の味に慣れさせる
次は、歯磨き粉の味に慣れさせましょう。
なめさせて嫌がらなければ、指や布につけて歯の表面に塗りつけて磨いてみましょう。
ステップ3:歯ブラシで歯磨き粉をつけて磨く
最後は歯ブラシに慣れていきましょう。
まずは口元にもっていくことから初めて、歯ブラシに対して警戒心がなくなったら、歯を磨いてあげましょう。
どうしても歯ブラシを怖がる場合は、指や布で磨くだけでも効果はあります。
歯磨き効果のあるグッズ
歯磨きの基本は歯の表面の歯垢を取り除くことです。
歯垢が歯石になってしまった場合、口臭が少々改善することがありますが、歯石は簡単に取り除くことができません。
歯石になる前に、歯垢をしっかりと綺麗にしてあげることが大切です。
どうしても歯ブラシを嫌がるワンちゃんには、次のような方法を試し、歯垢をとってあげましょう。
歯磨きガム
歯磨きガムの場合歯垢分解酵素が入っているかどうかを確認してください。
歯垢分解酵素が入っていない場合は、かえって口腔内細菌が増えてしまうというデータがあります。
商品の裏書きをしっかりチェックして選びましょう。
液体歯磨き
飲み水に混ぜて自由に飲ませるタイプの歯磨き剤です。
酵素入りやキシリトール入り、ハーブ入りなどさまざまなタイプがあります。
磨くと言うよりも、口の中の細菌繁殖を抑えるという目的で使用します。
歯磨きシート
歯磨きシートは歯ブラシが苦手なワンちゃんにおすすめです。
歯磨きシートは普通のウエットティッシュとは違い、シートの表面が汚れを拭いとりやすいように特殊加工されています。
この歯磨きシートを使用することで口の中の細菌が平均95%減少したという報告があります。
【歯垢・歯石 対策】こんなときには動物病院を受診
口の中の状態が悪化してしまったら、動物病院を受診してください。
動物病院を受診した方がいい症状
次のような状態のときは、動物病院を受診して獣医師に相談しましょう。
- 今まで食べていたドライのドッグフードを食べにくそうにしている
- 食べるのに時間がかかる
- 歯と歯茎の境目が赤くなっている
- 近くにいると口臭がする
- 犬歯に歯石が付くようになった
すでに歯石がたくさんついている場合はもちろんですが、なるべく症状が軽いうちに受診したほうが改善は早くなります。
受診の際に持参したいメモ
受診の際には、以下のような情報をまとめておくと診断がスムーズです。
- 普段食べているドッグフード名
- よく食べるおやつ
- 歯磨きをしているならば、歯磨きの手段と歯磨き粉の名前
- 最も気になること
動物病院で行う診察・検査について
診察の際に「一番気になっていることは何なのか」を明らかにします。
しっかり歯の状況を確認し、必要ならば血液検査や歯のレントゲン撮影を行います。
考えられる病気
歯の状態が悪いとき、考えられる病気には次のようなものがあります。
- 歯周疾患
- 歯石付着
- 歯根膿瘍
- 口内炎
- 口腔内の腫瘍
- 心疾患、腎疾患など
歯周病は歯のトラブルですが、歯だけではなく心臓や腎臓などの臓器に問題をもたらすこともあります。
治療・薬
血液検査を行い白血球の数値やCRP(炎症性タンパク)の値を確認し、歯の炎症が全身にどれくらいの影響を与えているかを確認します。
必要であれば、肝臓や腎臓の血液検査も行います。
歯石がたくさん付着している場合は、全身麻酔下で歯石を除去します。歯石を除去するだけでなく歯周ポケットの中もスケーリング(歯石除去)します。
付着の程度が軽い場合は、歯磨き指導も行います。
炎症がひどい場合は口の中の環境改善のために「抗生剤」「消炎剤」の内服を行います。
治療にかかる期間・費用
血液検査:3,500円~
全身麻酔下での歯石除去:15,000円~
期間は程度によりますが、歯石除去を行う場合は1日で終わります。
※ただし、その後の歯のケアは一生続くものと考えましょう。
ペット保険について
歯周病の治療のためであれば保険適用になりますが、美容目的の場合は適用外です。
歯垢・歯石の原因は?
歯垢は、食べ物のカスが歯の間や、歯と歯茎の間にある歯周ポケットの中に溜ることで起こります。
ワンちゃんの口の中には、「カプノサイトファーガ」という細菌が常在しています。日本国内における犬・猫の「カプノサイトファーガ」の保菌率は90%以上と言われています。
この菌は犬や猫から、人に感染する場合があり、免疫力が低下している人の場合、重症化する日和見(ひよりみ)感染になります。
このような細菌が、食べ物のカスと口の中で反応することでも歯垢のもとになります。
歯石は、歯垢にカルシウムなどが結合し石灰化することで出来ます。一度歯石ができると、その歯石を足掛かりとして、さらに歯石が付着し、悪循環を引き起こします。
歯石が歯周ポケットに蓄積すると、口の中の常在菌が更に増殖し、歯肉に炎症が起きて歯周病に至ります。
口の中の細菌が繁殖すればするほど口臭もひどくなります。
ワンちゃんは人と比べて、歯垢から歯石ができるサイクルが速く、5日間程度で歯石になってしまいます。人間の4倍のスピードで歯石になるといわれているため、しっかり歯を磨く必要があります。
年齢別:歯のお手入れ方法、注意点
パピーからシニア期までで、歯のお手入れの仕方が変わります。
パピー(子犬)期
パピー期は歯磨きの習慣をつける時期、そして食の好みや味覚を決定づける時期です。
子犬の時期に口を触られたり歯磨きをされることに慣れて抵抗感をなくし、楽しいことだとプラスのイメージ付けができると、その先の歯のケアが非常にやりやすくなります。
また、食性(食べ物の好み)が決まるのもパピー期です。
この時期に甘いおやつなどをたくさんあげてしまうと肝心のドッグフードを食べなくなります。
満足できる良質なドッグフードを食べる習慣をつけてあげましょう。
アダルト(成犬)期
継続的に歯磨きを行います。食事の時間にメリハリをきかし、だらだらと食べないように気をつけましょう。
缶詰やトレイ・パウチは避けて、よく噛んで食べるドライフードをメインにすると歯垢の沈着の予防になります。
最低3日に1回は歯を磨いてあげましょう。
シニア(老犬)期
硬いものが食べにくいワンちゃんが増えてきますので、ますます歯のお手入れに気を配らないといけない時期です。
高齢になると唾液の分泌が悪くなるので、より丁寧に清潔を保つ必要があります。
唾液は消化酵素としての役割だけでなく、口の中の汚れを洗い流す働きもしています。この唾液の分泌が悪くなると口の中で細菌繁殖しやすい環境になるためです。
お顔のマッサージをしっかり行い、唾液腺からの唾液分泌を促してあげましょう。歯磨きも3日に1回行いましょう。
お口の中の環境が寿命に影響すると言われています。健康で長生きする秘訣はお口の環境にあるかもしれません。
歯垢・歯石のよくある質問Q&A
人間の場合、ヨーグルトに含まれている乳酸菌により口臭が減ったり歯周病の予防になると言われていますが犬の場合正式な報告はありません。
基本的に犬に虫歯はありませんが、カプノサイトファーガという常在菌がいます。飼い主さんの体調の悪い時などに犬から人間に感染することがあり、命にかかわることもありますので、できればしない方がよいでしょう。
最悪抜けてしまうこともあります。口の中の環境を改善し、炎症を取ることが大切です。歯茎と歯の間に塗りこむような抗生剤の軟膏もあり、かなり改善することが出来ます。気になったらすぐに動物病院を受診しましょう。
嫌がっている時はいっきに磨こうとせず口に触るところからやり直していきましょう。ブラシではなくガーゼや歯磨きシートでも十分きれいに取ることができます。嫌がっているのに歯磨きを強行すると犬たちは歯磨きをもっと嫌いになりますので、100%を目指さず、60~80%を目指すようにしてみましょう。
結論
愛犬の口の中は、できるだけ健康な状態を保ってあげたいですよね。
口の中の状態が、寿命を左右するとも言われていますので毎日の歯のケアは大切です。
定期的にお口のお手入れを行ってあげたり、唾液分泌を良くするお顔のマッサージをするなどで、歯垢の沈着を解消していきましょう。
またドッグフードの見直しも大切です。噛むことにより歯垢の沈着を抑え歯の健康を維持してゆきましょう。