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質問「犬にほうれん草を食べさせるのは全くNG?それとも適量を守れば大丈夫?」に獣医が答えます!

犬にほうれん草は「食べさせてはいけない」または「注意が必要」のどちらでしょうか?

初めまして。動物に食べさせてはいけない食品を探していてこちらのサイトに辿り着きました。非常に勉強になります!ありがとうございます。

1点質問させて頂きたいのですが、ほうれん草が食べさせてはいけない野菜の中に入っていますが、飼い主のためのペットフード・ガイドライン(環境省発行のパンフレット)を見ると「食べさせてはいけない」ではなく「注意が必要なもの、与えすぎないほうが良いもの」になっているようです。

これは調理方法(茹でてあく抜きをし、水でさらした後与える)を守れば、一定量は与えても良いという事でしょうか?また、与えるとしたら小型犬・中型犬・大型犬で1日どれくらいの量であれば大丈夫でしょうか?愛犬家として、専門家である獣医さんにご教示いただけると助かります。宜しくお願いします。

わんちゃんに与えることは、不可能ではありませんが、ドッグフードペディア編集部からはおすすめできません。あまり食べないほうが良いことは確かです。

獣医のアドバイスほうれん草はビタミンA・C・Eや葉酸を多く含み、栄養豊富な野菜です。鉄分が多い代表的な野菜と思われていますが、実はほうれん草の鉄分は、小松菜の半分ほどしか含まれていませんが、ほうれん草に含まれる葉酸が鉄分吸収を促進する働きがあり、全体として見ると鉄分の吸収率のよい野菜です。

ですが、他に硝酸とシュウ酸が多く含まれており、そのためにご指摘の通り、ペットフード・ガイドラインでは注意が必要なもの、与えすぎないほうが良いものに分類されています。

ほうれん草に含まれる硝酸は発癌性物質のニトロソアミンを体内で作ってしまったり、貧血を起こすメトヘモグロビン血症を起こしてしまうこともあります。

ほうれん草に含まれるシュウ酸は、カルシウムの吸収を阻害したり、カルシウムと結合して結石の原因になります。しかしこのような物質はゆでることで半分ほどに減らすことができるので、食べさせる時には必ずゆでてください。また、ゆでるときには多めの湯でゆでる方が、硝酸とシュウ酸の減少量が多くなりますのでおすすめです。

上記のような方法でわんちゃんに与えることは、不可能ではありませんが、ドッグフードペディア編集部からはおすすめできません。あまり食べないほうが良いことは確かです。使うとしても彩り程度にしておかれるほうが良いでしょう。特に、わんちゃんのシュウ酸カルシウム結石は増加傾向にありますのでご注意ください。

硝酸の1日許容摂取量は、ヒトのデータになりますが、体重1㎏あたり0~5㎎です。ほうれん草100gあたり硝酸は40~400㎎、シュウ酸は400~1500㎎含まれています。これをもとに計算すると、小型犬でほうれん草10g、中型犬で15g、大型犬で30gぐらいが良いのではないでしょうか?これは100gあたり一番多く含まれていると仮定して、ゆでる前のg数です。ご参考になれば幸いです。

今後もわんちゃんとの健康な暮らしをお送りできますよう、応援しております。

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【執筆者】 とある開業獣医師

とある獣医師某大学農学部獣医学科卒業。病院勤務を経て、2000年代に動物病院を開業。飼い主と犬のかけがえのない日々の手助けをすることをモットーに、疾患の治療だけでなく、最適なドッグフードの選択のお手伝いも含めライフスパンのトータルケアを行う。