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ペット先進諸国アメリカと日本のドッグフードの違い ~安全基準、医療、法律など

ペット先進諸国と日本のドッグフードの違い 獣医に聞いてきました
ドッグフードはビスケット、粉末、缶詰を経て、現在のキュブル状(粒状)のドライのドッグフードが出来上がりました。

ドッグフードの原型は、ロンドン在住のアメリカ人によって考案され、1860年より販売されはじめました。

日本で商品化されたのは1960年と100年も遅れての登場でした。

では、現在のドッグフードは日本と海外でどのように違いがあるのでしょうか。

海外の犬事情

ペット先進国と言われるのは、アメリカ・イギリス・カナダ・ドイツなどの欧米諸国です。

これらの国では動物愛護、動物に関する法律、ドッグフードの品質管理、医療面でも進んでいます。

アメリカの動物愛護、動物に関する法律について

アメリカでは州法と呼ばれる法律があり、国単位の法律ではなく、州単位で法律が異なっています。

アメリカでも、モデルとされることが多い、オレゴン州の動物愛護に関する法律を例に挙げていきたいと思います。

虐待やネグレクトの事だけでなくその決まりは多岐にわたります。

動物虐待を禁止する法律

第1級動物虐待罪
動物に対して故意または無謀な行為で深刻な肉体的損傷を負わせる、または残虐な死に至らしめること。違反した物は5000ドル以下の罰金または1年以下の懲役に処する。

第2級動物虐待罪
動物に対して故意または無謀な行為で深刻な肉体的損傷を負わせること。違反した者は2000ドル以下の罰金または6か月以内の懲役に処する。

また、次のような場合にはさらに重い罪となります。

・暴力行為に家庭内暴力または児童への暴行が含まれる
・動物虐待が故意に児童の目撃する場で行われている
・過去に第一級動物虐待罪の判決を受けたことがある
・該当する第一級動物虐待罪が加重暴行罪に該当する
(加重暴行罪とは第一級動物虐待罪において悪意を持って動物を殺すこと、また箱井に拷問的苦痛を与えることとされています。)

以上の条件に該当する場合は10万ドル以下の罰金および、または5年以下の懲役に処する。

ネグレクトに関する法律

第1級動物飼育放棄罪
故意または無思慮に、又は犯罪的過失によって管理すべき動物に対して最低限の世話(健康を保つための食物、水、運動、清掃など)を怠った結果、深刻に健康を害したり死に至らしめること。
5000ドル以下の罰金または1年以下の懲役に処する。

第二級動物飼育放棄罪
故意または無思慮に、又は犯罪的過失によって管理すべき動物に対して最低限の世話(健康を保つための食物、水、運動、清掃など)を怠ること。
2000ドル以下の罰金または6カ月年以下の懲役に処する。

さらに、
動物虐待、動物飼育放棄の軽犯罪に該当した者は、判決から5年間は動物の飼育を禁止する。
動物虐待の重犯罪に該当した者は、判決から15年間動物の飼育を禁止する。
また、動物虐待防止プログラムへの参加、保護された動物の治療費等必要経費の負担、精神科のカウンセリング受診が義務づけられる。



虐待やネグレクトに関する法律のほんの一部ですが、他にも治療、飼育スペース、闘犬など様々な事に関して事細かに規定されています。

アメリカの動物医療と獣医師

諸外国でのペットの社会的地位は日本以上に高く、そのぶん獣医師になる道は険しいものです。

アメリカを例にとりましょう。アメリカで獣医師になるためには、まず4年制大学を卒業し、そのあと獣医学部に入学して4年間勉強します。つまり合計8年かかって獣医師免許を取得することになります。獣医学部への入学は非常に難しく、4年制大学を好成績で卒業しなければ入学は困難です。

レベルは高く、また動物看護師も短大または4年制大学卒業後、国家試験を受験し国家資格を取得しています。

そのため、日本では認められていないペットへの注射や、カテーテル挿入などのレベルは大変高いものとなっています。

アメリカのドッグフードの安全基準

アメリカのドッグフードはFDA(食品医薬品局)とAAFCO(アメリカ飼料検査官協会)という2つの安全基準が中心となります。

ほかに、アメリカ農務省、州の行政機関、ペットフード協会、国家研究協議会なども一定の役割を担っています。

FDAとAAFCOは以下の事について権限と義務を持っています。

FDA

  1. ペットフードを含む飼料が食品と混同されないように、適切な表示に関して責任を負う。
  2. 表示内容に関して、連邦レベルの問題並びにすべての動物飼料に共通する事項を規制
  3. 動物薬、療法食、添加物、および原材料の製法や成分規格、ペットフードへの使用基準を設定
  4. 環境衛生庁と協力して、製品や原材料中のアフラトキシン、重金属、残留農薬などの許容水準を設定
  5. 健康表示または薬効表示の規制

AAFCO

  1. ペットフードの表示内容に関して、州レベルの問題並びにペットフードに特有の事項を規制
  2. ペットフードを含む飼料の品質と安全性を州が取り締まるため、罰則規定を含む規制法案をモデル提示。
  3. 栄養適正表示の裏付けとなる養分基準の作成
  4. 栄養適正表示の妥当性立証のための給与試験のプロトコール作成
  5. 飼料製造業者にAAFCOやFDAの規制を周知させるため、公式報告書を刊行
  6. 州や連邦の飼料取締官が統一的な法律、寄生、政策を打ち出せるよう、論議の場としてのフォーラムを開催 

獣医海外では、ドッグフードの原料として4D禁止になっている国が多くみられます。

特にドイツでは人間でも食べることが出来る品質の原料の使用が義務図けられています。また、ドイツでは犬用の精肉店もあります。

このような犬事情を考えても海外は犬に対して先進国と言えるでしょう。

ドッグフードオブザイヤー

アメリカ政府公認の試験認定機関である、グリミックリサーチ研究所が、総合的に最も健康的なペットフードに与える国際的な賞が、ペット・フード・オブ・ザ・イヤーです。

認定プログラムと、認定マークはアメリカ、カナダ、イギリスの政府の登録許可を受けています。

また、WHOのガイドラインを通じて世界的にも承認されています。

この賞は、原材料、血糖反応、糖尿反応、抗加齢成分、その他の項目の分析結果に基づき厳しい基準をクリアした製品にのみ与えられます。

日本の動物愛護・動物に関する法律

日本における動物愛護に関する法律は、「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」で、2013年9月に改正されました。

この法律の概略は以下の通りです。

第1章 総則

 動物の虐待及び遺棄の防止に関すること
 第1項 動物への積極的虐待を禁じる
      第2項 適正飼育を義務とすることにより、飼育動物のネグレクトを禁じる
 動物の適正な扱い
 第4節 周辺の生活官許の保全等に関わる措置
 多頭飼育に関する規定

第5章 雑則

第41条 虐待とみなされた動物を発見した報告義務

第6章 罰則

第44条 愛護動物をみだりに殺し、または傷つけた者は、二年以下の懲役または二百万円以下の罰金に処する。
2 愛護動物に対し適切な食事・水・不当な拘束・清潔にすることを怠った場合は百万円以下の罰金に処する(概略にしました)
3 愛護動物を遺棄した者は、百万円以下の罰金に処する
  第25条の規定に反した者は50万円以下の罰金に処する

日本の動物医療と獣医師

日本で獣医師になるためには獣医学部に入学し、一般教養2年、専門課程4年間を経たのち獣医師国家試験を受験し、合格すると獣医師免許が交付されて獣医師になることが出来ます。

日本においても獣医学部に入学することは狭き門といわれています。

大学病院のような高度医療を担う総合病院や、一次診療を担う一般開業の動物病院まで様々です。

現在では、MRI検査、放射線治療や抗がん剤治療など、人間で行う医療と変わらないレベルまで行うようになってきています。

一方、動物看護師は国家資格化されていないため、海外の動物看護師のように注射や処置などはできないのが現状です。

日本におけるドッグフードの安全基準

日本におけるドッグフードの安全基準は2008年6月に成立した「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」です。

この法律は2009年1月から施行になりました。

この法律の概要は以下の通りです。

製造方法の基準

  • 有害な物質や病原菌を含んだ原材料を用いてはならないこと
  • 加熱や乾燥をする製品では、病原菌が繁殖しないように製造すること
  • プロピレングリコールを用いてはいけないこと

表示の基準

ペットフードに次の5項目の表示を日本語でしなくてはならないと規定しています。

  • ペットフードの名称
  • 原材料名
  • 賞味期限
  • 製造業者、輸入業者または販売業者名および住所
  • 原産国名

規格

「愛玩動物飼料の成分規格等に関する省令」で定められているもので、ペッフードに含まれる添加物(酸化防止剤)、農薬5種類、汚染物質(アフラトキシンB1)について含有量の基準値が定められています。

事業者の届け出と帳簿の備え付け

国はペットフードによる健康被害を防止する必要が認められたときには、そのペットフードの廃棄や回収を命じることができるようになっています。

そのために、製造業者・輸入業者には届出の義務を課しています。また、ペットフードの製造、輸入、販売をする事業者は、製造、輸入、販売の記録を帳簿に記載しなければならないとしています。

立ち入り検査と罰則

ⅰ)立入検査
 国はペットフードの製造、輸入、販売業者に対して報告を求めたり、定期的にまたは必要に応じて立入検査を実施することができます。
ⅱ)罰則

  1. 個人に対しては1年以下の懲役刑または20万~100万円以下の罰金刑、または両方
  2. 法人に対しては、1億円以下の罰金刑



以上のように、ペットフードの安全を守るために細かい決まりを定めています。


ドッグフードで起きた死亡事件について

2007年に起きた中国産原材料を使用したドッグフードを食べた犬たちが腎不全や、嘔吐下痢などの消化器症状を起こし中毒症状を起こしたり、死亡した事件は全世界に衝撃を与えました。

健康被害が確認されたケースは少なくとも1950匹の猫と2200匹の犬を含む8500匹のペットが死亡したという報告があります。

原因究明のためにコーネル大学に分析依頼をした結果、この大量被害の原因はメラミンではないかと推測されています。


まとめ

日本と、海外の犬を取り巻く事情を比較していくと、やはり日本はまだまだ遅れているように感じます。医療、ドッグフード、しつけの面でも大きな違いがあります。

日本では公共の場で犬同伴可の場はまだまだ少なく、最近になってようやく盲導犬や聴導犬同伴可の店舗が認知されるようになりました。

海外特にヨーロッパ圏のように、電車に犬とともに乗車する、しつけがしっかりなされた犬たちがリードなしで歩く姿、公共のレストランや会社に同伴する姿を日本で見かけることはまだまだ先のことになるでしょう。

そのような日々を迎えるためには、私たち飼い主が勉強して犬たちとの生活を見直し、犬に生活ルールを教えていくとともに一緒に向上していくことが必要かもしれません。



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